エチケットとマナー、目には見えないこころ

こんにちは。
フリーアナウンサーの藤本 えりです。



えぇ声トークラボを主宰し、
『声・ことばと伝え方を磨いて、なりたい自分になる』というお手伝いに加えて、
マナー講師として専門学校での非常勤講師も務めています。



マナーと似た言葉で、エチケットという言葉がありますよね。
よく「礼儀作法」と訳されるエチケットやマナー。



ビジネスマナーの授業で、まず始めに生徒の皆さんに、
考えてもらうことがあるんです。



それは、「エチケットってなぁに? マナーってなぁに?」という言葉から、
なぜ必要なのかを捉えてもらうこと。


「エチケット」から、なにを思い浮かべられますでしょうか?



ワインのラベル?
確かに、これも「エチケット」と呼びます^^



では、エチケットの語源をご存知でしょうか?


エチケットの語源は、古代フランス語に起因します。

フランスで、宮廷に立ち入る際に守るべきことを書いて貼りつけた札があり、
その札や作法のことを指したそうです。
(『外来語の語源』角川書店より)



そこから、ワインに貼りつけるラベルのことも、
エチケットと呼ぶようになったのだそうですよ。




エチケットは対面している相手や周囲を不快にさせない、
迷惑をかけない、敬意を表すもの、といったように、
個人や狭い範囲の人間関係における思いやりや優しさによる心配りです。



今、目の前の人が不快な想いをしないように配慮する、
「咳エチケット」などもそうですよね。



また、「ネチケット」という言葉も生まれていますが、
ネット社会となった現代のインターネット上で目にした人たちが
不快な気持ちにならないように思いやることを表した言葉のようです。



エチケットが目の前の個人を意識したものになっているのは、
フランスの個人主義が強いからだと言われています。


では、マナーはいかがでしょう?

マナーは特定の人に接している場合だけでなく、
職場や公衆での行動一般で望まれる言動や態度を示します。



マナーの語源は、
ラテン語のmanus(マヌス)で「手」を表すそうです。


そこから英語のmannerに発展するのですが、
このmanusを語源にする言葉は多くあります。



余談ですが、

「手引き書」を示す、Manual(マニュアル)や
「運営する」という意のmanageも語源を同じくしているようです。


英語のmannerに関しては、

「manner」だと「方法」や「仕方」「態度」を、
「manners」と複数形にして「行儀・作法」を示します。


こうなった背景としては、
「荘園」を意味する「manor」と関係しているそうです。


中世ヨーロッパのイギリスには「荘園領主の館:マナーハウス」があり、
封建制の中で、地域の集会所のような役割を担っていました。



そのマナーハウスにおいて、

貴族の紳士淑女によって示された博愛精神がマナーの基本、
手本となったという説もあるようです。



このマナーハウス、
今ではゴルフ場やテニスコートを併設したリゾート施設や
保養地の宿泊施設にもなっていて、
著名人の所有していたマナーハウスは博物館として
公開されているところもあるようです。



ちなみに、

私が是非とも泊まってみたいCastle Combeのマナーハウスは、こちら。
「The Manor House Hotel and Golf Club」です♡

MANOR HOUSE HOTEL AND GOLF CLUB
CASTLE COMBE, UNITED KINGDOM | SEASON DEALS FROM £1102

コッツウォルズ地方には、素敵なマナーハウスがあるようです。
(イギリスにステイしていた友人談。) 




コロナの状況が落ち着いたら、ぜひ訪れてみられてはいかがでしょうか^^



さて、私はこうして言葉の成り立ちや、
発展してきた背景を知ることによって、

その意味合いを落とし込めるのではないかなと思っています。



「ビジネスマナー」という言葉があるのも、
「おもてなしの心」をカタチとして儀礼や規則のように定義するから。


型はあくまでも型であり、
そこには「良いこころをカタチで表そう」とする思いやりがあればこそ、です。



例えば、「食事のマナー」一つをとっても、
生活する場所が変われば、マナーも変わります。



日本では素手で食べ物を扱うことは不潔と取られなるべくしませんが、
インドでは、カレーなども素手で食べます。

しかも、左手は不浄の手とされ、右手で必ず食べるんですよね。

知っていれば、
お守りのように使いこなせるそれがマナーなのかなと思います。




最後に、私の好きな言葉をご紹介します。



「こころ」は誰にも見えないけれど、「こころづかい」は見える
「思い」は見えないけれど、「思いやり」はだれにでも見える

(『行為の意味』宮澤章二著)



目の前の人にフォーカスしたエチケット、
もう少し広い範囲での思いやりをカタチに表したマナー、

どちらもサラリと美しい振る舞いで時に細やかな配慮でできる
そんな女性でありたいものですよね。 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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〈プロフィール〉
「えぇ声トークラボ」主宰
現役フリーアナウンサー 藤本 えり
「ことば」の大切さを実感し、「話す」ことや「声を出すこと」を
少人数グループレッスンやパーソナルレッスンでサポート。
官公庁や企業を中心とした講演会や
1000人規模のシンポジウム司会に抜擢され、
年間100件近くの受注を受ける。

マナー講師歴は10年、
専門学校にてマナーの検定講師や非常勤講師としても活動しており、
コミュニケーションの重要性をお伝えしている。

▼これまでのコラム一覧
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