LGBTQ+と「自分の生きる姿勢」
みなさん、こんにちは。
ヨーロッパも日本も暑い日々が続きますが、
みなさんお元気ですか?
実は今、夏休みを利用して家族全員で日本に
滞在しています。
久々の日本の湿度と暑さにへとへとになりながらも、
日本の美味しい食べ物、美しい自然、
色々な方達の優しさに触れて、
家族でこの1日1日を過ごせることに
本当に感謝でいっぱいの日々です。
とは言え、毎日夜になると眠気が・・・(笑)
今回私が選んだテーマのLGBTQ+とは、
Lesbian, Gay, Bisexual, Transexual, Questioningという
単語を集めたもので、いわゆる「男性の体と心」を持った人と
「女性の体と心」を持った人以外の人たちを総称した言葉です。
この言葉自体は比較的新しいものですが、
私がマドリッドに来てから体験した
「ゲイ、レズビアンの人たちが自由に暮らせる都市」について
ちょっとお話したいと思います。
まず、2006年、私がマドリッドに住み始めて
まだ間もない頃に、何気なくバスの窓から外を見ていた時のこと。
バスが信号で止まり、今日も空が青いなぁ、と思っていた
私の目と鼻の先で、通りを歩く男性カップルがキスをしていたんです。
おぉ、男同士で堂々とキスしているよー!!これがマドリッドかー!!
そう思って、一人興奮してしまった覚えがあります(笑)
通りを歩いていても、手をつないでいる男性同士を
見かけることはよくあります。
(女性は友達同士で手をつないだりもするので、
そこまで目を引かないんですよね。)
正直、ちょっと視線がそっちに向いてしまうことはありますよ(笑)
でも、それは決して悪い意味で目を引くからではなく、
男性同士でも堂々と手をつないでいる人がいるということが、
個人的には嬉しいからなんです。
さて、このLGBTQ+ですが、ヨーロッパでは毎年至るところで
LGBTQ+のイベントが開催されています。
このイベントの主な目的は、
「LGBTQ+の人たちの権利を認め、彼らが自分らしく
いられる社会を求めること」
ですが、LGBTQ+の人もそうでない人も、みんなが参加できる
お祭りのような形になっています。
ヨーロッパでは毎年こういったイベントが
開催される場所がいくつかありますが、
その中でもマドリッドのLGBTQ+のイベントは大規模で、
なんと参加者が200万人以上になり、ロンドンやパリの
イベントより沢山の参加者がいるんですよ。
以前新聞で目にしたデータでは、マドリッドのLGBTQ+の人口は
何と50万人でした。
当時のマドリッドの人口で計算した場合、人口の10%は
LGBTQ+となっていました・・・。
10人に一人ってすごいことですよね。
確かに私の周りにもLGBTQ+の人はちらほらいます。
娘が公園でよく遊んだ女の子の中に、
母親がレズビアンという子がいました。
しかも、その母親はカップルがおらず、精子バンクから
精子をもらって人工授精をして生まれたのがその子でした。
その女の子のおじいちゃんとおばあちゃんが
私にその話をしてくれましたが、
周りの人に伝えることで二人も受け入れようとしているんだなぁ、
と、親の深い努力を感じました。
また、私の以前の職場にはゲイの男性が一人いました。
彼の話し方、目線や動作から、見るからに「この人、ゲイだ!」と
分かる彼でしたが、皆に優しくて、ちょっとピュアで
涙もろいところもあって、本当に皆から愛されていました。
「あのブランドのあのパンツがすごくいいんだよ。」
「この眉毛のデザインをしてくれたお店は・・・。」なんて
話を聞いて、私よりずっとファッションにこだわりを持っているなぁ、
と感心したものです。
そういえば、私がスペイン語を学んでいた時の先生の一人も
ゲイでした。
「●●広場に行くと、必ずレズビアンやゲイの人たちがいて
声をかけてきますよ。」
と言われ、私は一度も声をかけられたことがないけれど・・・
と、不思議に思ったことを思い出します(笑)
そんなマドリッドのLGBTQ+の今年のイベント
(プライド・フェスティバル)が、7月初めに開催されました。
まず、至る所で目に入るのが、ゲイ(今はLGBTQ+)を象徴する
虹色の旗。(写真:カルフールのマークにも虹色が。)
普通の家のベランダにも虹色の旗がかかっています。
そのほかにも、虹色のレイヤーケーキ、虹色の地下鉄の
駅の標識、虹色のバッグ、虹色の靴下・・・。
いつもカラフルなマドリッドが、このフェスティバルの前後は
さらにカラフルになります。
そして、フェスティバルの最後にあるパレードには、
本当に色々な種類のグループの人たちが参加するんですよ。
スペインには、ゲイやレズビアンカップルで、体外受精や代母の
システムを使って自分達の子供を持つ人たちが多くいます。
そういった人たちが親子でパレードに参加し、
「私たちの子供です」と書いてあるTシャツを着ているのは
かなり目を引きました。
その他にも、
「私の愛は誰も傷つけない あなたの憎しみは傷つける」
という言葉が印刷された風船も目にしました。
「誰かを自由に愛することは 罪ではない」
当たり前のようでいて、それを許さない国もあるんですよね。
マドリッドにあるEU加盟国の大使館が連名で出した横断幕には、
「私たちは皆 平等である」と虹色で書いてありました。
人に迷惑をかけないように、いつも謙虚に控え目に、
と教えられた日本人の私にとって、
こういうイベントでLGBTQ+の人たちが堂々としている姿を見ると、
「周りの目を気にするだけではなく、
自分がどう生きたいかを考える」
ということの大切さをいつもしみじみと感じます。
本当に自分が生きたい人生を生き、なりたい自分になるのって、
ただやりたいことをやるだけではないんですよね。
そうなるためには、「本物の強さ」や「意志の力」が必要だと
私は思います。
パレードに参加している人たちも色々ですが、
参加者からはいつも沢山のエネルギーをもらえますよ
ちなみに、来年のマドリッドのLGBTQ+のイベントは
6月23日〜7月3日の予定です。
昨年と一昨年はコロナでかなり縮小したフェスティバルでしたが、
来年はどうなるでしょうか。
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《プロフィール》
かねこ はるき
スペインのコンセルバトーリオという
音楽専門学校に通いつつ
3人の子育てをするワーママです。
「ひとまずここにしようかな。」と、
勢いで選んだスペインに住んで早16年。
コラムでは、日本とスペインの似ている所、
観光旅行のお勧めスポットの他、
観光では知ることのできないディープなスペイン、
子育て、こちらの学生生活等についても
扱う予定です。
スペインに来てから、とにかく
「ママがハッピーでいられる子育て」
の大切さを実感しています。
そんなアイディアも皆さんにご提供できれば
本当に嬉しいです。