生きるために最も重要な資源、水

こんにちは稲垣可夜子です。
3月22日は世界水の日でした。

1992年のブラジルのリオデジャネイロで開催された
地球サミットのアジェンダ21で提案され、

1993年、
国際連合総会で3月22日を「世界水の日」に定められました。


今月のコラムは
私たちの生命の営みに必要不可欠な
【水】についてお話していきます。


1.持続可能な社会と水

SDGsでは6番目に『安全な水とトイレを世界中に』
というゴールが書かれています。




水の問題は人の生命、
そして教育、経済も左右すると言われています。


安全な飲料水の確保は人々の健康や命の問題解決につながり、
農業用水の安定供給は食料問題の解決に。

下水対策、水質汚染対策は
環境や公衆衛生の問題解決となります。

また災害時の治水対策は
人命と財産を守って地域社会の安全や安定を守ります。

このように私たちが生きる為に
直接的にも間接的にも水は最重要な資源です。


2.水の確保できない地域で起きている問題

エチオピアの女の子 アイシャちゃん13歳。
彼女の1日を撮影した動画を見ました。

朝6時半。
1頭のらくだを連れて歩いて
水を汲みに行くところから彼女の一日が始まります。

川についたのは10時40分。
彼女は水を汲むためだけに毎日8時間使います。
友達と遊ぶことも、教育を受けることもできない。

たった5リットルにも満たない水を汲みにいくために。

水の確保という重労働に課されることによって、
子ども達の教育や、女性の社会進出の機会が奪われ、
開発途上国の経済発展を遅らせている原因にもなっています。



3.世界のトイレ事情

日本ではきれいでペーパーが用意してあって
自動で流れるトイレが当たり前のようにありますが、

世界では約20憶人の人がトイレを使うことができません。

過去20年くらいの間に、
基本的なトイレを使えるようになった割合は
2000年の56%から2017年時点74%と少しずつ増加してきました。

それでも今なお、世界人口の26%の人が
排せつ物を衛生的に管理・処理できる基本的なトイレを使用できていません。



私が中国留学中に農村部に遊びに行った時のこと。

途中トイレを借りたくて民家にお邪魔したところ
(お店などひとつもない場所だったので)案内されたのは家の裏の原っぱ。

崩れかけたレンガが置いてあって
土に穴が開いてあるだけの場所でした。


この経験はもう15年も前のことですが、
今でも道ばたや草むらなど、

屋外で用を足す人々が世界に6億7000万人以上います。


屋外排泄をすることによって、
排泄物に含まれる病原菌が
人の手やハエな川、地面などを介して人の口に入り、
下痢やかぜなどの病気の原因になります。

不衛生な水や、トイレ以外の場所での排泄などが原因で
細菌が体内に侵入してしまい
下痢などの病気を引き起こします。

それが原因で命を落としてしまうことも少なくありません。

1日に800人以上の子どもが
下痢性疾患でなくなっているといわれています。


4.トイレがないことによって奪われる人間らしさ

「用を足している姿を人に見られる」

もしそんな状況になったらどんな気持ちになりますか?

また留学中のエピソードになりますが、
中国の街中のスーパーに立ち寄った時のこと。

買い物を終えてお店のトイレに行きました。
大きなスーパーだったので大丈夫だろうと思っていたのですが・・・

甘かったです。

トイレには扉がなく
目の前には次にトイレを利用したい人が待っている。

トイレどうしを仕切る壁も腰位の高さしかありませんでした。

用を足す姿を見下ろされている。
立ち上がれば隣のトイレが丸見え。

寮に戻るまで時間がかかるために利用せざるを得なかったのですが
もう気まずくて複雑な気持ちで。

どうしてこんなトイレにしたのか理解できない。
一刻もはやく立ち去りたい。

そんな気持ちで二度とそのスーパーのトイレを使うことはありませんでした。


トイレは実は教育にも大きな影響を与えています。

「用を足している姿を人に見られるかもしれない」
という不安は、
特に思春期を迎えた女の子には切実な問題。

トイレがないことが理由で学校を休む。
休むうちに授業がわからなくなってますます学校に行かなくなる。

ユニセフの報告では、
アフリカの女の子の10人にひとりは、
トイレがないという理由から生理中は学校を休んだり、
退学してしまうという調査結果もあります。


清潔なトイレで人目に触れず、
安心した環境で用を足せることは
人間の尊厳を守ることにつながります。


5.日本の水利用

日本は水資源に恵まれていると思いますよね。
水道からはいつでもきれいな水が好きなだけ使えるし、
トイレもお風呂もいつでも使えます。

でも私たちが使っている水は
飲食や洗濯、料理、お風呂、トイレ 
だけではないんです。

実は日本は世界有数の『水輸入国』。

日本の年平均降水量は1718mm
(1971年から2000年にかけての平均値)

世界平均(880mm)の約2倍に相当するそうです。

それにもかかわらず日本は世界有数の「水輸入国」。

どういうことかというと、
実際に水そのものの輸入を指すのではなくて
多くの食料を輸入している日本が、

国内で食料を生産した場合に
どのくらい水を使っているかを指しています。

これを「バーチャルウォーター(仮想水)」といって、
食料の輸入は、形を変えて水を輸入していると考えるんです。

環境省はバーチャルウォーターについてこう述べています。

日本のカロリーベースの食料自給率は40%程度ですから、
日本人は海外の水に依存して生きているといえます。

つまり、日本はバーチャルウォーターの輸入を通じて海外とつながっており、
海外での水不足や水質汚濁等の水問題は、日本と無関係ではないのです。

2005年において海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は約800億m³。
その大半は食料に起因しています。

これは、日本国内で使用される年間水使用量と同程度です。

環境省「Virtual water 世界の水が私たちの生活を支えています」より




エシカルを学ぶ中でいただいた言葉があります。 
「これからは見えないものを 見ようとする力が大事」


水ひとつをとっても
衣類や食品などに私たちが消費しているものの背景に
目に見えない水の利用があるということをまず知らなければなりません。

そして地球上で限りある水という資源を
思っている以上に消費していると意識することが大切なんです。


6.私たちができることとは?

生活の中での水の使い方、
生活排水、入浴、洗濯、炊事などのなかで
変えられることはありませんか?

水を無駄にしないというのはもちろん、
水を極力汚さない工夫をしなければなりません。

洗剤など環境負荷をかけないものを選択する、
そして汚れた水を排水溝から海へ注ぎ込まない工夫や努力をしていく。

私たちの未来、そして次世代への課題と責任ですね。




R-doorオンラインサロンでは、
コラムニストやメンバーの皆さんとの
交流が出来ます。






《プロフィール》
稲垣 可夜子
エシカルコンシェルジュ。

千葉県出身。
SDGs未来都市川崎市在住。
大手メーカー美容部員から個人サロンオーナーへ。

エシカル美容を提案するフェイシャルサロン
Ethical Beauty Room オーナーセラピスト。
R-doorSDGsプロジェクトリーダー。

幼少期の体験、学生時代の中国留学、美容部員時代の経験、
自身や家族のアレルギー疾患や闘病などを通して
人と社会と地球環境の健康はイコールであると気づく。

「何かの犠牲の上に自分の幸福を築かない」ためにSDGs、エシカルを学ぶ。
現在、SDGs講座やオンラインサロンで講師を務める。

2020年10月に行われたSDGs提案グランプリでは
R-doorとして、ANAホールディングスに向けた旅行企画を発表。
グランプリを受賞。
2020年12月より
全国の個人サロンオーナーを対象としたエシカル教育とエシカルサロン作りのサポートを行うオンラインサロン
エシカルサロンチャレンジを運営。
2021年よりエシカル講座を開講予定

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