認知症の方とのコミュニケーション
こんにちは!竹内なつみです。
不定期で第4火曜日に認知症となった母との10年の歩みと
脳神経外科専門病院で勤務した経験、
保健師の知識も盛り込み、
認知症や介護に関する情報をお伝えしています。
先日の母の日、
皆さんは何を贈ったり贈られたりしましたか?
私は母が施設に入所してから、母の日とお誕生日に
母への贈り物と施設の方への御礼の品を送っています!
ちょうど間隔が半年ほどなのと、
いつも母の状態をお手紙でお知らせくださる施設なので
私もお手紙と共に御礼を!
認知症の母は電話で話した瞬間から忘れてしまうので
手紙にすることによって何度も目を通してくれるから
お手紙はとても有効なんです!!
何度読んでも飽きることなく
初めて読む感情を湧かせてくれる認知症という病。
母への感謝と愛情をつづった手紙が
母が目を通すたびに少しでも温かい気持ちに
心が包まれてくれたらいいなと思います!
3月、母がお世話になっている施設から
ようやく面会開始の連絡がきました。
- 事前予約で、予約日1週間前から3密を避けた生活をすること
- 面会は15分間
- 面会できる家族人数の制限
- ワクチン3回目が済み、2週間が経過している等…
2年以上ぶりに会えることを楽しみにしていたのですが、
3児の母の私にはハードルの高い面会条件でした…!
そして、今年に入ってからは
「お母さまは全くコミュニケーションがとれなくなりました。
日常生活はすべて介助が必要です。」
と毎月のお手紙に書かれるようになりました。
皆さんは、
”全くコミュニケーションがとれない方”
と接したことはありますか?
私が初めて認知症の方と接したのは、
看護学生だった19歳の時でした。
認知症の方が入所している施設で
担当する利用者さんと過ごした2週間。
はじめの1日が終わって
帰りの電車でものすごい頭痛に襲われました。
『会話が全く通じない』って実はとてもストレスなんです。
「私の名前は竹内です。」
と話しかけても何も反応してもらえなかったり
全く別の話をされたり笑顔になったかと思ったら
急に怒りだされたり。
相手の気持ちが全く読めないばかりか
私の存在がないかのように無視されているように
感じてしまうことが疲れの要因の一つです。
それは、普段当たり前に相手の言動や表情、
声の抑揚や言葉の選び方などから気持ちを察して
会話して人間関係を築きながら生活している人にとっては
相手が会話ができないという情報が頭に入っていても、
慣れていないとなかなか順応できません。
実は私たちが一番傷つくのは怒られたり、
厳しくされることよりも無視。
これは幾つかの研究でも明らかになっているんですよ!
無視することって、
自分を守ることであり相手への攻撃にもなるんです。
認知症の方の場合、
意識的にしてはいらっしゃらないのですが
お相手はそのように感じてしまうんですよね。
そして、それだけでなく、
話の内容を理解してもらえないということは、
例えば、お手洗いに行ってもらうだけでも、とても大変。
表情や仕草、目線やテンション
睡眠状況や食事摂取状況声掛けの言葉や行動の選定
そして、タイミング!!
色々なことを加味して
今だ!
というタイミングでお手洗いに誘います。
チームワークを駆使し
うまく波長を合わせることでとても安心した状態で
トイレへ行っていただけるんです!!
途中で言葉を変えたことを
お気づきになった方もいらっしゃると思いますが
私たちは
”全く会話ができない”ことはあっても、
”全くコミュニケーションがとれない” ことはありません。
表情などの非言語コミュニケーション
ノンバーバルコミュニケーションがあるからです。
今しんどい想いをされている方が読むと
正論に聞こえてしまうかもしれませんが、
会話が通じなくても、心を寄せて、
表情や言動をよーく観察すると見えてきて
”会話”ができるようになります。
もし皆さんが認知症の方と接する機会がありましたら、
言葉だけに注目しないで
皆さんの目と頭を使い心で是非コミュニケーションを
とっていただきたいなぁと思います!
母の面会に行けても
たった15分しかないのでコミュニケーションどころか、
母に慣れてもらうことすら難しいかもしれませんが…
今の私には生後2か月の赤ちゃんという
赤ちゃん好きの母にはこの上ないクッション材が!
母の大好きな和菓子も持参して
色々なアイテムをフルに使い母にとって
心地よい15分を提供したいと思います!!
▶︎過去のコラムはこちら
https://rdoor-official.com/category/column/takeuchinatsumi/
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【プロフィール】
竹内なつみ
保健師資格を有する看護師。
脳神経外科専門病院、超急性期・急性期にて勤務後、
看護とは何か、患者さんの体の変調に伴う感情の変化を研究すべく、大学院へ進学。
修士課程卒業、博士課程中退。大学院入学と共に、
実母の認知症状が現れ始め、学業、仕事、ワンオペ育児と介護に奮闘する。
現在は、看護師として勤務しつつ、ミセスコミュニティーR-door副代表を務める。