気持ちよく対応してもらえるクレームの仕方
フリーアナウンサーの藤本 えりです。
えぇ声トークラボを主宰し、
『声・ことばと伝え方を磨いて、なりたい自分になる』
というお手伝いに加えて、
マナー講師として専門学校での非常勤講師や
医療施設などで接遇研修講師を務めています。
よく「クレーム対応の仕方」という研修はご依頼を受けるのですが、
「自分がクレームを言う場面で、
うまく思いのたけを伝えられなかった・・・。」というお話を伺い、
今回は
「どんな時にどんなふうにクレームを伝えるか?
どんなふうに伝えたらスマートか?」について、
お伝えしてみようと思います。
そもそも、クレームって言いますか??
とっても美味しいお店なのに、
店員さんが無愛想・・・
残念だなぁと思いながらも、食事をする。
そこに、店内の室温管理が行き届いていなくて、暑くてならない。
手を挙げて呼ぶも、店員さん同士で談笑中で、なかなか気づいてもらえない。
「もう2度と来ないな。」と
何も言わずにお店を後にする、
そんな方も多いと思います。
けれど、
例えばそのお店が、
昔から通っていて思い出深いお店だったら、
何とか良くなって欲しくはないですか?
エネルギーを使って、時間を使って意見を伝えるのですから、
しっかりと向き合ってもらえるクレームの仕方をしたいですよね。
そもそも、私は「クレーム」という言葉に、
皆さん、抵抗を持たれると思っています。
「クレーム」とは、「お客様の声」。
ですから、
「より良くなって欲しい」という想いが根底にあるかどうか、
ここはポイントです。
その気持ちがなければ、(お相手にとっては残念なことですが、)
やり過ごしても良いでしょう。
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それでも伝えたい!伝えなければならない!
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という場面で、まず気をつけたいのが、
単なる「怒りの吐け口」にならないように、ということ。
感情的にならないよう、
まずは気持ちを落ち着けて、状況を整理したいところです。
受け取り手も人。
怒りを全面に出されると、
「はいはい、まずは話を聞けばいいのね・・・」と
「処理」に走ってしまう場合もあります。
怒りの抗議と説法
↓
周囲からの冷ややかな目線
↓
クレームを言われた人も
内容の前に「人柄を否定」された感覚を受ける
↓
かつ、丁寧な応対や改善に繋がらない
↓
「言わなきゃよかった」という嫌悪感が残る
こんな負のスパイラルに陥りがちです。
さて、そこで状況を整理するには、どうすればよいか??
それは、「書くこと」がおススメ。
お店であれば、メモなどに書いて、店長や管理者に渡します。
企業の製品やサービスであれば、メールや文書で送りましょう。
書くことで、情報として整理ができます。
必要な点を、順にまとめてみました。
①挨拶
・受けてへの配慮
・自分の名乗り(名前まで書く必要はありません)
②トラブル内容
・出来事の詳細(時間や状況)
・(あれば)自分の考察
③要望
・改善の要求と今回の出来事への補償(配慮も必須)
④御礼
・気持ちよく対応してもらうために、節度を持つ
例えば、先程の例でいえば、こうです。
〇〇店の接遇教育担当者様
私は〇〇店の近隣に住む、40代の主婦です。
このお店は創業当初からのファンで、20年近く、
家族の誕生日などでは決まって通わせていただき、
思い出深いお店です。
お料理も素晴らしく、いつも笑顔で迎えてくださる
〇〇店長にも、親しみを覚えておりました。
先日も家族揃って休日が重なり、
楽しみに訪れましたが、
その際に、あまりにも残念に感じたことがあり、
筆を取った次第です。
先日、
・店内の温度管理ができていなかったのか、
とても暑く感じた
・その件に関して伝えようと手を挙げても、
どなたも対応してくださらなかった
・スタッフさんを見ると、談笑していて、
明らかにお客様の様子を見ていないようだった
ということが起こりました。
私なりに考察した結果、スタッフ教育不足だと感じました。
お忙しいところ恐縮ですが、スタッフ教育を
今一度徹底してくださいませんでしょうか。
美味しいお料理をいつも温かな雰囲気でいただけていた〇〇店が
懐かしく、また沢山のファンが集うお店であって欲しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このような流れです。
名刺の裏などに書く場合は、起こった詳細だけを記し、
あとは口頭で伝えても良いと思います。
また、このようなお手紙を渡される際は、
ぜひ「お店の褒めことば」から始めてくださいね。
コミュニケーションは気持ちよく、
互いに嬉しいコミュニケーションであってほしいと思っています。
そのためのおすすめは、「いい言葉でサンドイッチする」こと。
・お店のファンであること
・お店に受け入れてもらえたら嬉しい、ということ
・これからも応援していきたいことなど、
受け取る側にとって嬉しい言葉で始めて、嬉しい言葉で締めくくりましょう。
最後に、私たちも日々生活する中で、
クレームを言わなければならない場面や
逆にクレームを受ける場面もあるかもしれません。
コミュニケーションはキャッチボール。
使った言葉や印象が、自分に跳ね返ってきます。
選ぶ言葉やその伝え方で、伝わり方も変わります。
「今後、どう変化するのか?よくなって欲しい」
そう思ってもらえる存在、貴重な時間を割き、
手間をかけた応援やアドバイスがもらえる存在でありたいですよね。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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〈プロフィール〉
「えぇ声トークラボ」主宰の現役フリーアナウンサー
藤本 えり
「ことば」の大切さを実感し、
「話す」ことや「声を出すこと」を
少人数グループレッスンやパーソナルレッスンでサポート。
官公庁や企業を中心とした講演会や
1000人規模のシンポジウム司会に抜擢され、
年間100件近くの受注を受ける。
マナー講師歴は10年、専門学校にてマナーの検定講師や
非常勤講師としても活動しており、コミュニケーションの重要性をお伝えしている。
▶︎これまでのコラム一覧
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