霜月のスイーツ
秋深まり
この実りの季節に栗を想う..
今年も美味しく口に運べるしあわせを噛みしめています。
そんな想いをご一緒に感じていただきたく、
今月お届けするテーマは栗好きを虜にする
【栗粉餅】
室町時代から日記や茶会記にもよく登場する、
季節のお菓子です。
餅に栗のそぼろ状の粉をまぶした、
一見すると素朴なものになりますが、
それも古来から伝わる和菓子ならでは。
こんなエピソードがあります。
近世、つまり江戸時代
最大の文化人といわれた近衛家煕(いえひろ)が、
茶会に使う栗粉餅を前の晩に納めるよう、
当時虎屋と亀屋に注文したそうです。
すると、
二店とも品質が保てないという理由から
お断りをいれてきたそうで..
公家のなかでも名門といわれる五摂家の近衛家、
しかも
当代きっての博学多才な家煕にお断りをいれるということ!
なかなかに象徴的な出来事だったのではないでしょうか。
結局、餅と栗の粉とを別にして納めたそうなのですが、
家煕はこの良心的な態度を大変褒めたと言われています。
そんな歴史をも味わえる栗粉餅
今期(2020秋)は、
当セミナーでも栗粉餅の食べ比べを愉しんでいただきました。
SUIでは秋の風物詩でもあります。
とらやの栗粉餅は、
いまではこのようなきんとん製で作られています。
初出年代が元禄13年(1700)とのことで、
この意匠も300年以上もの歴史があるんですね!
また、お餅に栗きんとんのそぼろ状のような粉をまぶした
昔ながらの栗粉餅は、いまも岐阜県で作られています。
岐阜県中津川の「栗粉餅」
いつかできたて、つきたてをいただきたいと
何度焦がれたことでしょう..
栗きんとんで非常に有名な土地ですが、
地元では栗粉餅も昔から愛されています。
先ほどのエピソードでもお伝えしたとおり、
生餅を使うため日持ちがせず、
お取り寄せではほぼ扱われない、
いわば地産地消、幻の栗スイーツなのです。
我が家の栗好きな娘へまだ入園前に、
グルメな友人から岐阜のお土産でいただきました。
わたしは有難さと嬉しさに震え、
そしてその美味しさに、
娘と顔を見合わせたのをいまも鮮明に覚えております!笑
幼子をも虜にする幻といわれた栗粉餅
いまは月に一度、
そのつきたてのお餅をその日のうちに発送してくださる限定商品があります。
https://enafukudo.jp/SHOP/09-02-02.html
今月分も迷いなくオーダー済みのわたくし♡
確認しましたところ、まだ間に合うようです^^(11月3日現在)
※とらやは今期販売終了しています
11月は風味豊かな栗の和スイーツ「栗粉餅」をご紹介しました。
皆さま深まる秋の日々を美味しく、どうぞお元気にお過ごし下さいませ。
参考:『和菓子を愛した人たち』(山川出版社)
R-doorオンラインサロンでは、
コラムニストやメンバーの皆さんとの
交流が出来ます。
《プロフィール》
冨田尚子
テーブル茶道家横浜生まれ。
交換留学での異文化交流を機に、日本文化を伝える大切さを学ぶ。
広告制作でフードコーディネーターとして商品企画担当。
表千家茶道、テーブル茶道を深めるなか、抹茶講師資格取得。
お抹茶ナビゲーター資格取得。
「暮らしのなかで愉しむお抹茶」をコンセプトに、
テーブル茶道を国内外に広くお伝えすべく、2017年お抹茶コミュニケーションSUI設立。
白金台キッチンサロンにて、抹茶講師養成セミナー、お抹茶飲みくらべ体験セミナー、
キッズワークショップなど、国内外1000名以上の方にテーブル茶道をお伝えする。
海外9か国からご受講いただく。
2017年キャピトル東急にて外資系企業セミナーのティーブレイク抹茶スタッフ担当。
2018年日本橋三越本店にて親子向け講座、
2019年日本橋三越本店にて1-3 月期継続講座登壇。
現イタリア大使夫人にプライベートレッスン、イタリア大使館主催/伊藤園協賛の日本文化セミナー登壇。
いけばなインターナショナル2019 カジュアル茶席を催し、
高円宮妃殿下の御臨席賜る。
2019年 2020年 オンワード樫山 webモデル。
家庭画報特選 2020年 きものサロン春夏号に取材記事掲載。