甘くないチョコレートのお話

こんにちは。
エシカルコンシェルジュの稲垣可夜子です。

もう幾日も過ぎてしまいましたが
今年のバレンタインデー。

皆さんどのようにすごされましたか?


チョコレートは用意されたでしょうか。

R-doorメンバーさんの中には、
チョコレートではなく
素敵なネイキッドケーキを作って楽しんだ方もいらっしゃいましたね^^


甘くて美味しくて、
一口食べると幸せな気持ちにしてくれる魅力的なスイーツ。
チョコレート。

バレンタインも終わり
チョコレートの話題としてはちょっと時期外れだけれど
今日は皆さんには知っていてほしい

『甘くないチョコレートのお話』をお伝えします。




「神々の食べ物」ーカカオー

チョコレートの原産で連想する国といえばどこでしょう?
日本ではカカオと言えばガーナというイメージが強いかもしれません。

某大手菓子メーカーでは製品名にもなっていますよね。

2013年から14年のカカオの生産量は、
アフリカのコートジボワールが世界第1位。
ガーナは第2位です。



この2つの国が世界のカカオ生産量の6割をしめています。

でも実はカカオの原産地はアフリカではないんです。

人類が初めてカカオの栽培をはじめたのは
メソアメリカ(今のメキシコ〜中央アメリカ北西部)と推定されています。


カカオは希少で、
高い栄養価・覚醒作用・癒しの力がある神秘的な食べ物とされていました。

神様への捧げものや宗教儀式に使われていたり、
薬や通貨としても利用されていたこともわかっています。

カカオの学名は「テオブロマ カカオ」。
ギリシャ語で「テオ」は「神」、
「ブロマ」は「食べ物」の意味です。


メソアメリカからアフリカへ

現地の人々が神の食べ物として大切にしてきた希少なカカオは

大西洋を渡って来たスペインの遠征軍に
「金の生る木」として目を付けられ
メソアメリカは植民地として支配されるようになっていきます。

そしてスペインによって広められたチョコレートの需要が
ヨーロッパで拡大すると、

生産量を上げるために
植民地では事実上の奴隷制度のような重労働が強いられるようになりました。




流行り病と奴隷制度によって
現地のカカオの生産人口が激減すると、

その労働力不足を補うためにアフリカからの奴隷が投入されました。


その後、
19世紀半ばに過剰生産と粗雑な管理によって
再度、カカオ生産量が壊滅的に減ると、

カカオ商人たちは、
カカオの生産に適した赤道の南北緯20度以内の高湿な低地を探します。

それがアフリカでした。

アフリカはかつて
カカオ生産のためにアメリカ大陸に奴隷として輸送された人々が生まれ育った国。

ヨーロッパは、
今度はカカオをアフリカへ持って行ったのです。

こうして、コートジボワールやガーナでは
現在まで続くカカオ生産が行われるようになりました。


カカオ生産の今

現在、カカオの生産の現場では
児童労働が行われている場所があります。

コートジボワールとガーナだけでも、
18歳未満の児童労働者は156万人に上ると言われています。

学校に行かせてもらえず
子供たちがナタや農薬を使った危険な草刈りをしたり、
自力で持ち上げられない重さの収穫物(カカオ豆)を
頭に乗せて運ぶなど過酷な労働が強いられている現状です。

そしてカカオ農家の人々や子どもたちの多くは、
輸出先でカカオがどう使われているのかを知りません。

チョコレートを食べたこともなければ、
見たこともない人がほとんどなのです。




私たちがこの現実に対してできることは

国際社会において
児童労働撤廃のために様々な取り組みが行われていますが、

とても多くの問題が複雑に絡み合っているために
解決が難しい問題になっています。

その中でも私たちができることは

これまでの歴史や今ある事実を知ること。
そしてモノも背景を知ろうとすること。

またフェアトレード商品の購入や、
問題解決に取り組む企業や団体を応援するなど
できることから行動していくことです。


世界にある問題が自分と無関係ではないかもしれない
ということを一人でも多くのひとに感じて欲しくて
チョコレートのビターな面をお伝えしました。


決して、チョコレートを買わないで!
ということではありません。


私たちが当たり前に買ったり、
使っているモノにどんな背景があるの
か少しだけ意識をして目を向けてほしいと思っています。


参考文献:チョコレートの真実キャロル・オフ著 北村陽子訳





R-doorオンラインサロンでは、
コラムニストやメンバーの皆さんとの
交流が出来ます。






《プロフィール》
稲垣 可夜子
エシカルコンシェルジュ。

千葉県出身。
SDGs未来都市川崎市在住。
大手メーカー美容部員から個人サロンオーナーへ。

エシカル美容を提案するフェイシャルサロン
Ethical Beauty Room オーナーセラピスト。
R-doorSDGsプロジェクトリーダー。

幼少期の体験、学生時代の中国留学、美容部員時代の経験、
自身や家族のアレルギー疾患や闘病などを通して
人と社会と地球環境の健康はイコールであると気づく。

「何かの犠牲の上に自分の幸福を築かない」ためにSDGs、エシカルを学ぶ。
現在、SDGs講座やオンラインサロンで講師を務める。

2020年10月に行われたSDGs提案グランプリでは
R-doorとして、ANAホールディングスに向けた旅行企画を発表。
グランプリを受賞。
2020年12月より
全国の個人サロンオーナーを対象としたエシカル教育とエシカルサロン作りのサポートを行うオンラインサロン
エシカルサロンチャレンジを運営。
2021年よりエシカル講座を開講予定。