5月 (唐衣 からころも) 秘められたエピソードに因んだ意匠
こんにちは。
「お抹茶コミュニケーションSUI」冨田尚子です。
4年ほど前になりますが
毎週英語のレッスンに通っていました。
テーブル茶道講師として季節の生菓子の説明を
英語でするという課題を出していただいていたんです。
当時は汗しながら準備しておりましたが..
でも。
実はこれが
それまでの美味しく味わうだけの和菓子から
和菓子の背景を深く学んで
わたしのなかの美意識を洗いだす
大きなきっかけになったと思っています。
今月は
当時、先生も感動してくださった
【唐衣 からころも】を準備しました。
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
旅(たび)をしぞ思ふ
伊勢物語に登場するこの歌は
「かきつばた」という言葉を入れて歌ったものです。
東下りで、京の都から東へ行く主人公が
現在の愛知県にあたる三河国(みかわのくに)の八橋で
燕子花(カキツバタ)の花から唐衣を連想して
※十二単衣の一番うえに羽織る丈の短い衣(からぎぬ)
唐衣を纏う都の妻を思い出すという一場面です。
歌の中に花の名前は出てきませんが、
各句の頭文字をつなげると..
「かきつばた」に!
ロマンチックがすぎる〜♡笑
和菓子の数あるストーリーのなかでも極上のエピソードです。
艶やかな意匠にもこころ奪われませんか♡
カキツバタは、
美しい庭園の水辺には欠かせない花で
日本最古といわれる万葉集の歌にも度々登場します。
このように和菓子には
銘(めい)といって
それぞれに情緒ある名がつけられていて、
秘められたエピソードに因んだ意匠が施されています。
ひとの感性を育てるって、
こうして
季節の風物を通して
美しい色やかたちを
見て
触れて
香りを感じて
口で
耳でも
丁寧に味わいながら
五感でその世界観を体験すること。
情緒溢れる時を味わうこと。
そんな時間の積み重ねなのではないかと思っています♡
先日
SUIのメンバーで訪れた
根津美術館の庭園に咲きほころぶ
カキツバタを思い出しながら
今月は綴らせていただきました。
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《プロフィール》
冨田尚子
テーブルで軽やかに豊かに愉しむ茶道
《お抹茶コミュニケーションSUI》代表
国内外のべ1300名以上の方に、テーブル茶道を指導。
日本橋三越本店にて継続講座や、イタリア大使館主催の文化イベントにも登壇。
以前は広告制作やフードコーディネーターとしても活動。
スイーツコラムでは、
美しく美味しいだけではない、
季節にあわせたスイーツの背景やエピソードをご紹介します。
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