スペインにもあるお神輿
みなさん、こんにちは。
今回初めてコラムを担当することになりました、
スペインのマドリッド市在住のかねこはるきと申します。
2006年にスペインに来た時には
喧嘩口調で大声で話す人たちに圧倒され、
毎週夜明けまで出歩く友人たちのペースに
ついていくのがやっとでしたが(笑)、
気がついたらこの国の人達の人間らしさ、
「みんな違っていていいんだよ」
というスペインの懐の深さが心地よくなって、
あっという間に滞在16年となりました。
観光地としての魅力ももちろんですが、
スペインらしい人とのコミュニケーションや
クオリティ・オブ・ライフについても
お伝えできれば嬉しいです。
さて、今回私が選んだテーマは「お神輿」。
お神輿というと、
日本語では神道の神様を
一時的にお運びするための台座を指すので、
日本ならではのものになりますよね。
日本の神様は乗っていませんが、
このお神輿のようなものが
スペインにもあるってご存知ですか?
スペインのお神輿が出るのは
復活祭(イースター)の前の
キリストの十字架の苦しみをしのぶ時期です。
そのため、乗っているのは
・十字架を運ぶキリスト
・悲しみの聖母マリア
・最後のお別れをするキリストと聖母マリア
・十字架につけられたキリスト
・祈る聖母マリアと天使などなど、
苦しみや悲しみをテーマにした像です。
日本のお神輿は活気があって
みんなの笑顔がこぼれますよね。
でも、スペインのこのお神輿は
それとは全く違っていて、
重いお神輿を担いで
キリストや聖母マリアの十字架の苦しみを
みんなで分かち合うのがメインなんです。
そういう雰囲気なので、
重々しいようなメロディーを演奏する
吹奏楽団が先頭に登場し、
その後にお神輿が続く
というのが一般的です。
血を流すキリスト像や、
息子(キリスト)を失う悲しみに
はらはらと涙を流す聖母像
(だいたい、すごーく美しい女性像)に
感情移入する人たちがいっぱいいて、
このお神輿を見て涙を流す人も
かなりいるんですよー!
このお神輿ですが、
それぞれの地域にある
コフラディア(Cofradía)という
信者のグループがあって、
それぞれのグループが毎年代々
引き継いでいる自分達のお神輿を担ぎます。
そのコフラディアの衣装は
下記の写真(緑の帽子を被っているもの)
のような感じです。
アメリカの
「クー・クラックス・クラン※」を
思い出させる衣装で、
ビックリする人もかなりいます。
※クー・クラックス・クランとはアメリカのヒミツ結社、白人至上主義団体(ウィキペディアより)
全然関係ないので、
怖がらないで下さいね!
(しかも、スペインのこの衣装の方が
クー・クラックス・クランの衣装より
歴史があります!)
今年は、私たちは
スペインの中にある
カスティーリャ・イ・レオンという州の
お神輿をいくつか見ました。
州都のレオン市の大きい
お神輿の規模は圧巻です。
夫の祖母の村にも滞在し、
子供達と村のお神輿も見ましたが、
なかなか見応えがありましたよ。
このお神輿の重さに耐えつつ
汗だくになって市内を回る親子、
自分の家族の衣装を縫って
ピシッとアイロンをかけるおばあさん、
代々家族に伝わる特別なメダイを
この日だけ首にかける青年。
宗教だけではなく、
こんな家族の伝統や
思いが伝わってくる行事でもあります。
また、このお神輿に乗っている像は
何世紀も前に作られたものが多く、
この時期にしか公開されないものもかなりあります。
パエリヤや闘牛も楽しいですが、
ちょっとディープなスペインを体験したい人は、
是非イースター休暇のスペインにも足をお運び下さい!
R-doorオンラインサロンでは、
コラムニストやメンバーの皆さんとの
交流が出来ます。
《プロフィール》かねこ はるき
スペインのコンセルバトーリオという音楽専門学校に通いつつ
3人の子育てをするワーママです。
「ひとまずここにしようかな。」と、勢いで選んだスペインに住んで早16年。
コラムでは、日本とスペインの似ている所、観光旅行のお勧めスポットの他、
観光では知ることのできないディープなスペイン、子育て、こちらの学生生活等についても扱う予定です。
スペインに来てから、とにかく「ママがハッピーでいられる子育て」の大切さを実感しています。
そんなアイディアも皆さんにご提供できれば本当に嬉しいです