スペインで音楽を学ぶ環境と母親の力について
みなさん、日本ではすごく寒い日が続いている
そうですね。
ちょうど今が受験シーズンで、なかなか気が休まらない
日が続いているお母さん達もいらっしゃることと
思います。
スペインは他のほとんどのヨーロッパの国と同じように
学校のスタートが9月になります。
そのため、受験シーズンは5〜6月なんです。
もちろんどこの国も受験シーズンは大変ですが、
冬の寒さが重なる日本は本当に大変だなぁ。
日本のお母さん達は本当にすごいなぁ・・・。
と、改めて思います。
皆さんも、くれぐれもお身体にはお気をつけて
下さいね。
さて、今回はスペインの子供達の音楽を学ぶ環境に
ついてお話したいと思います。
私は日本で5歳から17歳までピアノを学びました。
日本だと、音楽教室のような所に通うか、個人の先生
からレッスンを受けるか、という2つの選択肢があると
思います。
こちらでも最初はそうなんですが、その後に
「コンセルバトーリオ(Conservatorio)」と呼ばれる
公立の音楽学校に通うという選択肢も出てきます。
コンセルバトーリオには、こんな良い点があります。
教師の質がとにかく高いこと
ほとんどの教師は奨学金をもらって海外へ留学した
という人たちばかりで、もちろんコンクールでの
受賞歴もあり。
やはり、この質の高さには圧倒されます。
そして、人間的にも深みのある素晴らしい人たちが
多いです。
良い先生の元では、子供達の吸収も早いという印象を
受けますね。
安いこと
コンセルバトーリオには、「音楽を真剣に学びたい
学生達にできるだけ多くの機会を与える」という目標が
あるので、政府が補助金を出しています。
そのため、私立の学校に比べるととにかく安いです!
ピアノの授業だけで言えば、私立の学校では毎週
1時間で月1万円くらいはすると思いますが、
コンセルバトーリオでは年間1万2千円程度・・・。
年間です!😳
日本では、音楽を専門に学ぶと金銭面が大きな負担に
なりますよね。
こういう選択肢が日本にもあれば良いのに・・・と
思わずにはいられません。
しっかりとした経歴になること
コンセルバトーリオは普通の学校と同じ扱いになります。
(学校での勉強とは別のコースなので、普通の学校に
行かなくても良いという訳ではありません。
両方通う形になります。)
そのため、コースを全て終えると「卒業証書」が
もらえます。
それなりに長いコースなので、学歴に入れて
もらえるのは嬉しいですね。
<入学するには>
それだけ良い点があると、
やはり入りたい人たちは
多いので入学試験があります。
8歳以上の子供であれば、
誰でも受験資格を
得られます。
あとは、受験したいレベルの試験を受けることに
なりますが、そのレベルのクラスに空きがあるかにも
よるので、基礎科の1年生からというのが一般的です。
試験では、実技と筆記試験があり、筆記試験では音階や
聴音(簡単なメロディーを聴いて楽譜に音符を書くこと)
などをします。
私の娘はピアノを6歳から始め、8歳の時に基礎科
2年生の試験に合格しました。
ある程度の準備は必要ですが、特にずば抜けてピアノが
できる必要もなく、基礎ができていれば大丈夫という
感じでした。
もちろん、コンセルバトーリオに行くと色々な課題も
あります。
授業科目の多さ
コンセルバトーリオでは楽器を習うだけでなく、
音楽全般についての知識を深めることになっています。
(全ての過程を終了すると、先生としてプライベート
レッスンができるレベルになるので、全ての学校
共通のプログラムになっているのです。)
そのため、他の楽器との演奏、コーラス、音楽理論、
音楽史、そういったものも含まれます。
私は現在プロ課の6年生ですが、5−6年生はかなり
大変で、毎週3−4日は学校に通うことになります。
小中学生だと毎週2−3日ですが、通学には親御さんの
サポートが必要になります。
試験
学校と同じ扱いということで、当然試験もあります。
学校の試験期間前後に音楽の試験もあるとなると、
子供によってはかなりのストレスになることも・・😓
ただ、それだけ大変でも続けている子供達の
ほとんどは、その年齢の子以上に成熟していると
感じることが多いです。
個人的には、そういう子供達と自分の子供が交流できる
場が一つ増えたというのは嬉しいですし、私自身も
クラスメートの若者の頑張りからたくさんのことを
学んでいます。
長々とスペインの音楽学校について書きましたが、
どうして私がコンセルバトーリオに辿り着いたかに
ついてもちょっとお話しますね。
まず、私が音楽を始めたきっかけは、私がまだ
赤ちゃんで母が子守唄を歌っていた時代まで遡ります。
生後3ヶ月くらいだった私は、母が悲しい子守唄を
歌うと涙を流したそうです。
最初は気にしなかった両親ですが、いつも目が赤く
なるので、面白がって何度も歌ったとか(笑)
この子は音楽が好きなんだと思った母が、私が
5歳の時に近所に住む友達のお母さん(ピアノの
先生)のお家にレッスンに連れて行ってくれる
ようになりました。
幼稚園の後に友達の家でレッスンを受け、その後友達と
遊ぶのがいつもの楽しみでした。
17歳で留学したため、そこでピアノは中断して
しまいましたが、私がリビングでピアノを弾いている
時に、よく台所にいた母がそっとピアノを聴きに
来たのを思い出します。
私が22歳の時、母は癌で他界しました。
そして、25歳の時に私は日本の仕事を辞めて
スペインに。
勉強、就職、結婚、子育て・・・と、ピアノに戻る
なんて全く考えていなかった私がピアノを始めようと
決めたのは、長女がピアノを習い始めた時でした。
そこで、
「退職したらコンセルバトーリオに行きたいな。」
と言った私に、
「来年受験しましょう!」
と背中を押してくれたのが当時のピアノの先生でした。
音楽理論をスペイン語で説明するなんて無理!という
前に、そもそも音楽理論を知らなかった私😂
筆記試験はかなり難しいものでしたが、
何とかギリギリ合格😅
実技試験で審査員の前でピアノを弾いた時は、それは
もう本当に緊張しました。
大きなホールのスポットライトが当たっているピアノの
前に座り、汗で冷たくなった手を置き、震えた指で
弾いたメロディがブルブルしていました(笑)
でも、その時に私が思い出したのは、いつもリビングの
ソファにそっと座って目をつぶってピアノを聴いていた
母の姿でした。
私が音楽が好きなことを見つけて、私のペースで音楽が
楽しめるように助けてくれた母。
留学中に自分をうまく表現できなくて苦しかった時、
何度ピアノに救われたことか。
そんな母との思い出を感じ、この曲は母のために
弾こう、そう思ってから緊張がだいぶ和らいだのを
思い出します。
母が亡くなってもう20年近くになります。
それでも、母が私にまいてくれた音楽の種は、母が
亡くなってからも私の中で育ち、私にとってなくては
ならないものに成長しました。
母の力って本当に偉大だなぁ、と思います。
皆さんがまいた種も、きっとお子さんの中でこれから
一生成長し続けるはずです。
たくさんの種をまいた後には、愛情もたっぷり与えて
あげて下さいね。
それが、お子さんにたくさんの生きる力を与えてくれる
はずですよ。
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《プロフィール》かねこはるき
性教育コーチとして、
「家庭でお母さんが行う性教育ー6週間で性について
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をスペイン語で開催中🇪🇦🇵🇪🇲🇽🇬🇹🇨🇱🇦🇺
日本語での講座開催リクエストを受け、2月後半
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