桃の節句に草餅!?

雛祭りにちなんだお菓子は
菱餅などがが一般的ですが

京都ではこの季節に
「引千切(ひちぎり)」というお菓子が並びます。





こんにちは!
お抹茶コミュニケーションSUI冨田尚子です。

弥生(3月)は、雛祭りの愛らしい京菓子
「引千切」をご紹介します。


子どもの成長を祈る宮中儀式に用いる
「戴餅(いただきもち)」の流れをくむ美しいお菓子です。


猫の手を借りたいような多忙な時に、
餅を丸める手間を惜しみ、引き千切ったことにちなんでいる
といわれています。

また、初回のコラムで
「亥の子餅」のエピソードをお伝えしました。






11月の亥の日に
火鉢や炬燵(こたつ)を出すことをご紹介しましたが、
その火鉢をしまうタイミングが、3月の上巳の節句。


このひな祭りのタイミングで、
火鉢や炬燵を片付けて、蔵の窓を開けるそうです。

水の気の「亥」に出した火を、
火の気の「巳」でしまう、

陰陽五行のリズムが息づいているのだとか!



そして本来、お雛さまの時にいただくお菓子は、
「草餅」というのをご存知でしょうか。


草餅が文献に初出するのは、
平安時代にまで遡ります。

2月に芽が出てくる
「母子草(ははこぐさ)」を
3月3日に採ってお餅にした、とあります。



お雛さまのお餅菱餅は、江戸期に登場するのですが、

現在見かける3色の菱餅ではなく、
2色が原形だったそうです。


京都の公家 三条家の年中行事がまとめられた書物には、
「菱餅のため、青と白の2色のお餅を準備すること」
が記されているそうです。

やはり上巳の節句には、
青い「草餅」が欠かせないものだったようです。


宮中への出入りを許された15代川端道喜によると、
江戸時代前期、
徳川家より後水尾天皇の中宮となった東福門院のもとに
来客が多いので、
お餅を丸める手間を惜しみ、引きちぎったことが由来とのこと!

引きちぎったシッポの部分が
真珠を抱くあこや貝に似ていることから
「あこや」の別名があります。


当初は、
草餅に山椒味噌を塗っただけのものが、小豆餡に変わり、
さらにその上から
きんとんを載せるようになったのだそうです。


やはり本来の「引千切」は草餅が土台になっているようです。

あこや真珠を女の子に喩えて..
まるで女の子が大切に守られ、磨かれて、
素敵な女性になっていく様を重ねているようで。

わたし自身も娘に対する想いを重ねてみたり..



最近は東京でも、目にする機会が増えてきました。

和菓子屋さんにより、
色や形に違いがあるのも楽しく
ただちぎったようでありながら、
エピソードにまで奥行きのある美しいお菓子です。



京都では、旧暦にひなまつりをお祝いするご家庭もあり、

お店によっては、3月3日を過ぎてからも旧暦のお雛さままで、
販売されるお店もあるようです。


霊力みなぎる桃の枝を飾り、
可愛らしい和菓子を求めて
今年も新たに想いをこめてお祝いしてみてはいかがでしょうか。





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《プロフィール》
冨田尚子 
テーブル茶道家横浜生まれ。
交換留学での異文化交流を機に、日本文化を伝える大切さを学ぶ。
広告制作でフードコーディネーターとして商品企画担当。
表千家茶道、テーブル茶道を深めるなか、抹茶講師資格取得。
お抹茶ナビゲーター資格取得。
「暮らしのなかで愉しむお抹茶」をコンセプトに、
テーブル茶道を国内外に広くお伝えすべく、2017年お抹茶コミュニケーションSUI設立。
白金台キッチンサロンにて、抹茶講師養成セミナー、お抹茶飲みくらべ体験セミナー、
キッズワークショップなど、国内外1000名以上の方にテーブル茶道をお伝えする。
海外9か国からご受講いただく。
2017年キャピトル東急にて外資系企業セミナーのティーブレイク抹茶スタッフ担当。
2018年日本橋三越本店にて親子向け講座、
2019年日本橋三越本店にて1-3 月期継続講座登壇。
現イタリア大使夫人にプライベートレッスン、イタリア大使館主催/伊藤園協賛の日本文化セミナー登壇。
いけばなインターナショナル2019 カジュアル茶席を催し、
高円宮妃殿下の御臨席賜る。
2019年 2020年 オンワード樫山 webモデル。
家庭画報特選 2020年 きものサロン春夏号に取材記事掲載。