【R-doorインタビュー】阿佐美や いも子さん

 

本日のゲストは【いも子の焼き芋】で有名な
阿佐美や店主 阿佐美やいも子さん(村田洋子)

TBS系「BACK STAGE」
テレビ朝日系「報道ステーション」
テレビ東京系「関ジャニのありえへん世界」
など数々のメディアにもご出演されています。

そんないも子さんの”私らしい生き方”とは。

メディアに引っ張りだこの、街の焼きいも屋さんになるのでの
葛藤をお伺いしました。
 

 

ーーまずはいも子さんと焼き芋との出会いを
お聞かせください

いも子:元々は就職はせずパートの調理師になったんですね。

とある企業の社員食堂でご飯を作っていました。
きっかけは”料理が好き!いつかキッチンカーでカフェを出してみたい
”そんな思いから社員食堂で働き始めたんです。
企業で働けば保険のことなど”安定”もあるじゃないですか。それも魅力的でした。

 

ーー実際に働いてみてどうでしたか

いも子:いざ働きだすと全然仕事ができなくて(笑)いつもよく怒られていたんです。
言われたことを覚えられなかったり、すぐに忘れちゃうんですよね。

だから毎日怒られてばかり。
そんな毎日にだんだん辛くなっちゃってね。
自分に合っている仕事は他にないかなと思い始めたんです。

 

ーーそこからどうしたんですか

いも子:でもすぐに辞める訳にはいかなくて、
実際にはちゃんと調理師免許を取ってからやめました。

 

ーーそうなんですね。では次にそこから
どう動いたんですか

いも子:そこからは失業保険を貰いながら
職業訓練校に行ったんです。

そこがフードサービス起業科っているところでね。

将来、お店を開きたい人が集まるような場所だったんです。

そこで講座を受講しました。

 

 

ーーちなみにその時はおいくつですか

いも子:それは28歳の時です。。

 

ーー講座受講の時はどんな雰囲気だったのですか

いも子:何かやりたいと思いつつ、最初はただ毎日
を楽しく過ごしていたんです。

当時はいつも、何かおもしろい本はないかな?
と思い古本屋さんに寄るのが日課になっていたので
その日もいつものようにふらっと古本屋さんに立ち寄ったんです。

そこで1冊の本に出会ったんです!

 

ーーそれはどんな本だったんですか

いも子:「移動販売の本」という本です。

それを読んで、そう言えば昔から移動販売をしたかったんだよね〜
という気持ちを思い出しました。

その本にはいろんな移動販売の種類が書かれていてね。

たこ焼き、ベビーカステラ・・・

その中に「焼き芋」があったんです。

 

ーー運命の出会いですね。その中から「焼き芋」に惹かれたのには理由があるんですか

いも子:資格が要らない!開業資金もそんなに必要ない!そう書かれていました。

だからこれなら私にもできるかも知れないって。

そして、不思議なことに私が焼き芋屋さんをやるなら
こんな感じってイメージが降ってきたんです。

そこで「やろう!!」と決めましたね。

 

ーーすごいですね。そこからは
実際にどうしたんですか

いも子:次の日に早速、通っていた職業訓練校に
行って「私、焼き芋屋をやります!」と伝えたんです。

 

ーーその後、現実的にどうやって焼き芋屋さんになっていくんですか
そのステップをお聞かせください

いも子:まずは、焼き芋を焼く機材を何にするかを
決めるんです。
焼き芋を焼く機材っていくつか種類が
あるんですよ。
電気、薪、炭、窯焼き。
どれにするかを決めないといけないんです。

 

ーーいも子さんはどうやって決めたんですか

いも子:私は「かわいい」という直感だけで、壺と炭に決めました(笑)
お店も軽トラよりもリヤカーがかわいいと思って、リヤカーに決めたんです。
でもそれが失敗の始まりだったんですよ(汗)

 

ーーそうなんですか。そこから一体何が起きたのかお聞かせください

いも子:まず、注文した壺が偽物だったんです
(苦笑)
当時は焼き芋をそんなに食べたことがなかった
ので、そもそも焼き芋の正解の味が分からなかったんですね。
調理師をしていた頃の知識では、串が通れば
OKみたいな。
そんな知識しかなかったので、壺で焼いた
焼き芋も串が通ったら大丈夫だと思っていたんです。

 

ーー普通は誰でもそう思いますよね。焼き芋の焼き方に正解があったなんて。

いも子:本当は焼き方もいろいろあって、当時はそれを全く知らなかったんですよ。
だから毎日、その偽物の壺で一所懸命焼き芋を焼いていたんですね。
でも何時間経っても全然焼けないし、これでいいのか分からないままお客様へ提供してしまったんです。
そうしたらお客様の中で「かわいいけど美味しくない焼き芋屋さん」という噂が広がっていたんです。

 

ーーそれは辛いですよね。そんな噂が広がったら焼き芋屋さんはどうなっちゃうんですか

いも子:最初はその街のリーダーみたいな方が買いに来てくれていたんですが。
私の焼いた焼き芋を食べて「あなたの焼き芋は美味しくない」「もうここへは売りに来ないで」と言われてしまって(涙)
そんな感じのエリアがいくつかあったんですね。
そうなると、もうそのエリアには販売にいけないんです。
本当に辛かったです。

 

 

ーーそんな状態から一体、どうやって
這い上がったんですか。
普通ならそこで辞めちゃいますよね

いも子:そうなんですよー。でも、もうリヤカーも壺も買ってしまっていたので。
辞めたくても辞めれなかったんです。
当時、mixiをやっていたんですね。
そこに、私が焼き芋屋を始めることなど全部書いていたんです。


今日はこんなことがあった・・とか、
今日はお客様からこんなことを言われた・・とか。
こんな風に改良してみた・・とかね。


そんなリアルな部分を書いていると、周りの人がたくさんコメントをくれたんです。
そんな中、「その偽物の壺を一緒に改良しよう」と言い出してくれた人がいたんです。

 

ーーいい人がいるものですね。そこから、壺の改良に入っていくんですか

いも子:その人が本当にいい人で。
他にも一緒に壺の改良をしてくれる人や「メルマガがあったらいいよ」とアドバイスも。

何もできない私の代わりに
メルマガとホームページも作ってくれる人がいたり
当時助けてくれた皆さんには本当に今でも感謝しています。

 

ーー他にもどんなアドバイスがあったんですか

いも子:暗い中営業していたら「照明があったらもっといいよ」
とかたくさんアドバイスをくれました。


あとは当時、常連の小学生がいたんですね。


焼き芋を買うわけではなくて、その場所に溜まっているみたいな。
ある時、バッテリーがなくなって暗い中営業していたらその小学生が
「人力発電で電気つけるといいよ」って教えてくれたんです。


そんなの世の中にあるのかなと思って調べてみたんです。
そしてその人に会いに行って、夏は人力発動かき氷屋さんをしていました。

 

ーーそうなんですね。それで現在、いも子さんも夏季に人力発電でかき氷を売っていらっしゃるんですか

いも子:そうなんですよ〜。
本当に周りの人に救われて、こんなのあるのかなと思って調べる。
そして取り組んできたって感じですね。

 

ーーもう本当に周りの皆さんのおかげですね

いも子:本当にそうです。
皆さんのおかげで美味しい焼き芋を焼けるようになって、売れるようになって
味も変わってきて仕入れ先も変わっていってという感じですね。

 

ーー仕入れ先も変わっていったんですね
それはどんな風に変わったんですか

いも子:最初は普通に市場のお芋を
仕入れていたんですね。
そうしたらある日お客様に「どこからお芋を買っているの」と聞かれたんです。


「市場から買っていますよ」と答えたら、
「他にも仕入れる方法があるよ」と言われて驚きました。


だからまたいろいろと調べていくうちに、
農家さんから直接購入するというものにたどり着きました。
そこから美味しい農家さんを探し購入するようになったんです。

 

ーーいきなりいち個人が農家さんと取引できるものなんですか。
どうやって農家さんと取引を始めたんですか

いも子:それもお芋の美味しい農家さんを紹介してくれる人がいてね。
その方に紹介してもらって美味しいお芋を買えるようになったんです。


その方もmixi時代に私の記事を読んでくださっていた方で本当に有難いですよね。

 

ーーそういう経験もあって今、開業を目指す人のサポートのされているんですか。
そのあたりも詳しくお聞かせください。

いも子:私は本当にたくさんの失敗を
してきました。


途中、もう辞めてしまいたいと思うことも
何度もあって。でもそんな時にいつも
助けてくれた人がいたから頑張れたんです。


だからきっと助けてくれる人、教えて
くれる人がいなかったらもうとっくに
焼き芋屋は辞めていたと思います。

 

ーー本当に周りの人に恵まれていらっしゃいますね。
現在は二人のお子さんのお母さんでもいらっしゃい
ますが、ご家族のことをお聞きしてもいいですか

いも子:はい。現在は10歳(長男)、6歳(長女)、主人の4人家族です。
毎日、仕事と家事ですごく忙しくしています。
だから私はとにかく、家族を巻き込んでいます!

 

ーー家族を巻き込むというのは具体的にはどんなことをされていますか

いも子:具体的にはお芋を子供と一緒に洗ったり、
イベントに出店する時は子供たちも一緒に行くんです。


子供にアルバイトもしてもらっていますよ。


お風呂を洗ったり、食器を洗ったり。
家のことはアルバイトではなくて、
阿佐美やのことを手伝ったらアルバイトとしています。

そのアルバイト代で子供たちは漫画を買ったりしながら楽しんでいます。
長女はまだ6歳なのでお金ではなくスタンプカードにしたり。
例えば、発送用に段ボールの組み立てをしてもらったりしながら手伝ってもらっています。

 

ーーあとは何かご家族の協力はありますか

いも子:生活が多少乱れるのはもうしょうがないってことで、冬は諦めてもらっています(笑)
元々、あまり家事は好きじゃないんですよ。
それに加えて冬は焼き芋屋が忙しい季節なんですね。


だからそのこともきちんと主人と話し合って、
「冬はしょうがないね」ということにしてもらっています。

 

ーー子供たちから見て焼き芋屋さんのお母さんってどんな風に映っているんでしょうか

いも子:下の長女は、嬉しい・楽しいみたいな感じなんです。
長男は口には出さないけれど、喜んでくれています。
すごく恥ずかしがり屋なんですけど、この間学校に
焼き芋カーで迎えでいったら少し誇らしげに喜んでくれていました。

 

ーー素敵なご家族ですね。いも子さんはお子さんに伝えたいことって何かありますか

いも子:生活の中に仕事があるっていうのをもっと見せたいなと思っているんです。


お父さんは働きに行くから別じゃないですか。
でもそうじゃなくて、生きていく上で大人は仕事を
していてそれを楽しそうにしている姿を子供たちに
も見せていきたいんです。
だからお芋を洗うところから段ボールを組み立て
て発送する所までを見せれたらなと思っています。

 

ーー生活の中に仕事があるっていいですよね。では最後に、いも子さん自身のこれからについて夢をお聞かせください

いも子:今、私は43歳です。
生活の中に楽しそうに働いている大人がいること。
そういう人を増やす活動をしていきたいと考えています。
昔、近所に駄菓子屋さんがあったみたいな感じで
小学校の近くに冬だけ焼き芋屋さんが現れるみたいなイメージですね。
小学生の良きたまり場みたいな
そんなことを想像しています。

焼き芋屋さんだけじゃなくて、
自分の特技を活かして働く大人がたくさん
いればいいなと思うんです。
そしてそういう人のお手伝いを
していけたらと思っています。

 

 

interviewer:植原江美子

 

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